X線回折とは 残留応力とは 残留オーステナイトとは アプリケーション 弊社の論文 推奨資料

X線回折とは

プロトでは材料の特性を測定するためにX線回折を使用します。X線照射後、材料に反射(散乱)した
回折X線内から残留応力、結晶方位、結晶構造等の情報を得ることができます。X線回折には多くの応用分野があります。当社の専門分野は、残留応力測定、粉末回折、ラウエ方位測定です。

粉末X線回折

 粉末回折は多結晶試料の相解析および構造決定に最もよく応用されます。粉末試料を単色X線に露出させX線回折パターンを発生させます。このパターンはその材料固有が持つ指紋とも言え、それらの情報から各材料の構造的な情報が得られます。これらのパターンをICDD PDF 4+のようなデータベースにある既知のパターンと比較・評価を行い、各材料を固有に識別することができます。応用分野は鉱石類の組成決定から医薬品の品質管理にまで及びます。

X線回折 残留応力

 X線回折によって得られた結晶面間の距離(d間隔)を使用して、残留応力値を算出することが可能です。材料が引っ張られると、d間隔は増加しまた圧縮されるとd間隔は減少します。

d間隔は 下記のBraggの法則を用いて計算できます。

Braggの法則: nλ = 2dsinθ

 単色の(λ)X線ビームが規則格子間隔(d)を持った試料に照射されると、強い干渉が角θで起こります。ひずみを持った試料のd間隔の変化は回折角θに影響を及ぼします。X線検出器が回折X線に含まれた角θの変化を正確に捉え、ソフトウェア上でd間隔を導き出し、残留応力値を算出します。

 可搬型の残留応力測定機器の分野において、X線回折は結晶性または半結晶性の残留応力値を非破壊で定量的に測定できる現在唯一の方法です。X線回折技術は非破壊で試料の測定が可能なため、(残留応力に基づく)加工処理工程の最適化、設計改善、疲労解析の改善等に大きく貢献します。また、当社の高速X線検出技術を使用することにより金属やセラミックスの測定時間が大幅に改善され、従来測定が困難であったショットピーニング処理済みのチタンのような材料でも測定が可能となりました。

X線回折 ラウエ

 ラウエ回折は単結晶の方位の評価・分析に用いられます。プロトのラウエは単結晶の試料を多色X線の平行ビームに露出させ、それらを2次元 X 線検出器で収集し、回折像(ラウエスポット・ラウエ斑点)として再現するシステムです。この回折像は試料の結晶方位を表します。ソフトウェア上で回折像と多点で表現された既知の単結晶の方位パターンと重ね合わせる事により、結晶の規則性等を比較、分析する事が可能となります。

 ラウエ回折は単結晶類を取扱う航空宇宙産業で品質管理用(ガスタービンエンジンに使用する単結晶タービンの方位の点検等)として広く使用されているほか、世界中の大学や研究機関のラボでも使用されています。