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残留応力 (Residual Stress)
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残留応力とは?

 

残留応力は材料内部に存在する応力です。この応力は外部負荷の力が全て除かれた後も存在します。材料が可塑性の変形を受けた後、材料が平衡状態に戻ろうとする結果、残留応力は発生します。

残留応力と印加応力との関係は?

 

印加応力は外部負荷によって材料内に発生します。(多くはひずみゲージで測定)。残留応力は負荷の有無に関係なく材料内に存在します。部品内のある
場所で材料が受ける全応力は残留応力と印加応力の和です。

 

全応力   =   残留応力    +   印加応力

 

残留応力が -400 MPaの材料に+500 MPaの印加負荷を加える場合、この材料にかかる全応力は2つの応力の和、すなわち+100 MPaです。したがって、残留応力の状態を把握することは部品に実際に掛かる負荷を決定するために重要です。一般に、部品表面の圧縮残留応力は有益です。それは疲労強度および疲労寿命を延ばし亀裂の伝搬を抑え、応力腐食亀裂や水素誘起亀裂などの環境で誘発される亀裂に対する耐性を増加させます。部品表面の引っ張り残留応力は一般に有害です。それは疲労強度や疲労寿命を減らし亀裂伝搬を増加させ環境誘発の亀裂に対する耐性を減少させるからです。

 

圧縮(-)残留応力は材料を押し合わせ、一方引っ張り(+)残留応力は材料を引き離します。応力の特性は材料面に垂直に働く垂直応力かまたは材料面に
平行に働くせん断応力となります。材料内のどの点においても合計で6つ(垂直3つ、せん断3つ)の独立した応力があります。

 

応力の単位

• 応力の SI (国際)単位はメガ パスカル(MPa)です。

• 応力の US (米国)単位は平方インチ当たりキロポンド(ksi)です。

 

    6.895 MPa = 1 ksi

残留応力の原因は?

 

残留応力は印加された機械的負荷、熱的負荷または相変化によって生じる可塑性変形後に材料が平衡したときに発生します。動作中に部品に加えられる機械的および熱的プロセスも残留応力の状態を変える可能性があります。

 

機械的:機械加工中の材料の可塑化

熱的:材料の凝固の差(材料の冷却時に発生)

相変化:析出/相転移が容積変化を起こす(オーステナイトからマルテンサイトへの変化する時に発生)

 

残留応力がどのように部品に影響するか?

 

どの断面を通しても全残留応力の正味の和は常にゼロです。部品のどの断面を通しても特徴として残留応力の分布があります。残留応力の分布は性能に影響します。XRDを使用して特性分析をするのはこの分布です。

残留応力の重要性

 

残留応力が影響を与えるのは下記項目です。

 

• 低サイクル、高サイクルの疲労特性

• ゆがみ

• ピーニング形成(制御されたゆがみ)

• フレッチング

• 応力腐食亀裂(SCC)および水素誘起亀裂(HIC)

• 亀裂の初生および伝搬(損傷許容度)

残留応力を測定し監視する利点

 

プロセスパラメーターの最適化、例えば重要な場所にある部品にピーニングを行う有効性の測定。

 

• 定量的な計量が実施でき仕様や合格/不合格の決定が可能となります。

• 製品品質を向上し、供給者品質を立証し 技術供給源承認(ESA)を可能にします。

• 安全性を向上させ破局的な事故を低減します。

• 十分な圧縮残留応力があることを保証して部品や構造物の寿命を延長します。

• 修理した領域が元の仕様に合う様に「回復」したことを実証します。

• 残留応力の劣化を追跡し交換部品の要求事項の精度を向上します。これにより、定量的な根拠で部品取り外しが可能となります。

• 残留応力の情報により、他の非破壊技術の検出確率を向上できます。

• 残留応力の分布を有限要素(FE)モデルからまたは破断力学的に実証します。

製造中の残留応力源

 

残留応力は冷間加工技術により製造過程で生成できます。例えば、ショットピーニング、レーザーショックピーニング、超音波ピーニング、鍛造、バニシング仕上げ、低可塑性バニシング、圧延、圧印、分割スリーブ拡張などの技術があります。残留応力は研磨、フライス削り、旋削などの機械的プロセスおよび溶接、鋳込み、鍛造、熱処理などの熱的プロセスによっても製造過程で生成されます。

残留応力の管理

 

有害な残留応力によって部品の応力腐食亀裂、ゆがみ、疲労亀裂、早期故障が生じまた過剰設計を起こす可能性があります。

製造過程で生じた有害となる可能性がある残留応力の管理を容易にするため熱処理、制御された冷却、局部加熱などの技術が適用されます。他にショットピーニング処理のような技術を用いて部品内に有益な残留応力を発生させ疲労寿命を延長することもできます。このような処理工程を確実に正しく行うには、残留応力の状態を把握する必要があります。残留応力の状態がわずかに変化しても部品の寿命に重大な影響を与える場合がしばしばあります。